Q： 急性期とはどのような状態をいうのですか?
 
A： 褥瘡が発生（発見）された直後から約1〜3週間の間を指し、褥瘡の状態がいろいろ変化していく時期（傷の様子が変わる時期）が「急性期」と言われます。

Q： 急性期の褥瘡の特徴として、どのような事がありますか?
 
A： 1． 褥瘡の急性期は、患者さんの状態も不安定であるので、患者さん側の要因（条件）と褥瘡が発生した要因（条件）についての分析がおこなわれます。
2． 褥瘡（傷）の状態が、短時間のうちに次々に変化するので、その変化に応じた治療がなされます。状態の変化は、褥瘡部に熱をもったり、赤くなったり、紫色になったり、水ぶくれをつくったり、腫れぼったくなったりします。また、褥瘡部に痛みを伴う事も多く見られます。
3． 褥瘡が深い（重傷）のか浅い（軽傷）のか、一見しただけでは判定しづらいのが急性期褥瘡の特徴でもあります。発見後から徐々に悪くなっていくような場合は、このような例にあたります。
 

Q： 急性期の褥瘡には、どのような治療がなされるのですか?
 
A： 基本的には、1．創を保護する、2．適度な湿潤環境を保つ、の2つがポイントになります。これらの目的のためには、主にドレッシング材を用いることが役立ちますが、場合によっては、外用薬を用いることもあります。以下に症状別に治療ポイントを述べていきます。
  1． 褥瘡部への治療が行われる前に、どうして褥瘡になってしまったのかについて、その原因が調べられ、その原因を取り除くことが行われます。原因には、体重が褥瘡部分に過度にかかっていなかったかや、皮膚にずれが起こっていなかったか、栄養状態が悪くなかったか等、全身状態について検討されます。
2． 褥瘡部への治療は、傷を乾かさないようにしながら、傷を保護する方法がとられます。この治療を行うために、以下4つの方法が必要になります。
  1） ドレッシング材
傷を乾かさず・保護する目的でドレッシング材が使用されます。急性期は、褥瘡部が次々に変化するので、この変化を見落とさないためにも、ドレッシング材は、観察しやすい透明な物が使用されます。また、褥瘡部はもちろん、周辺の皮膚にもダメージが生じているので、ドレッシング材の交換を慎重に行う必要があります。そこで、粘着力が弱く、ドレッシング材を交換する際に皮膚に張り付かない素材を使うなどします。
2） 外用薬
急性期褥瘡に用いられる外用薬は、褥瘡部を保護する効果の高い薬剤が選ばれます。油性で作られている薬が多く選択されます。この他、褥瘡部に菌が繁殖しないよう抑える効果がある薬剤が選ばれることもあります。外用薬を使用する際、ガーゼ等に薬を塗り、褥瘡部へ当てますが、ドレッシング材同様に褥瘡部に張り付かない（非固着性）ガーゼが使用されます。
3） 外科的切除
褥瘡部の変化として、黄色や黒色に組織が壊死（腐る）していくので、その壊死を取り除く必要がありますが、急性期には出血や痛みを起こすので、急性期を過ぎて（壊死の部分がはっきりしてから）行う方がよいとされています。
4） 疼痛管理
急性期には痛みが起こるので、薬等を用いて痛みが最小になるように配慮されます。