人工妊娠中絶は、母体保護法に基づいて、都道府県の指定する医師が行うものと規定されています。「脅迫もしくは暴行によって拒絶もしくは抵抗することができない間に姦淫されて妊娠したもの」、「妊娠の継続または分娩が経済的または身体的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの」について中絶を行うことができると定められています。
中絶が可能な時期については、現在ではその時期を妊娠22週未満と規定されて、「胎児が母体外において生命を維持することのできない時期」に限るとされております。
現在人工妊娠中絶にかかる費用はおおよそですが10万円〜15万円ほどではないかと思います。しかし健康保険では認められていないため、人工妊娠中絶に関して保険は通常利きません。流産については一つの疾患としてみなされるため同じ掻爬手術を行ったとしても保険が利きます。
さて、妊娠中絶の方法ですが、これには大きく分けて2通りの方法があります。
一つは頸管を拡張したあとに子宮収縮剤を用いて人工的に陣痛を起こして娩出させる方法です。一般的には妊娠12週以降の中絶に対して行われるもので、主に妊娠中期の中絶に用いられる方法です。この場合、胎児娩出から数日後に子宮内に残った胎盤の一部を出すために掻爬術を行うのが普通です。
もう一つは器具を用いて子宮内を掻爬する方法で、ラミセル、ラミナリア桿などの水分を含んで膨化する器具を子宮口に挿入し、子宮頸管が拡張したところで子宮内掻爬を行います。妊娠初期にはこの中絶方法で行うのが一般的です。
中絶後は一週間後に診察を受け、異常がないかどうか診てもらうのが普通ですが、その後は入浴が許可されたとしても、生理が再開するまでは性行為や旅行、スポーツなどは控えるべきでしょう。とにかく無理をしないことが大事なことです。始終動き回っていたりストレスの強い仕事に関しても要注意でしょう。
中絶後については、出血は掻爬後およそ1週間ほど持続するのは異常ではありませんが、いつまで経っても出血が止まりそうもない、出血の量がかなり多いという場合は必ず病院を受診して下さい。通常は掻爬後10日以内には出血はおさまるものですから、それ以上続かないかどうかを目安とすると良いでしょう。